前回・前々回のコラムにてご紹介いたしました所有者不明土地問題を解消する目的で、相続登記だけでなく、いわゆる名変登記(登記名義人氏名住所変更登記)も義務化されます。この名変登記は、権利者が変わった訳ではないけれども(権利も持つ人が変わった訳ではないけれども)、権利者の氏名(名称)や住所が婚姻・商号変更や転居・本店移転などに伴って変わった場合になされる登記です。

以下、名変登記の義務化についてのポイントを列挙します。

①施行日は、公布日(令和3年4月28日)から5年以内

②住所などの変更日から「2年以内」に名変登記を申請する必要あり

改正法は、施行日前の住所変更などにも適用されますが、その場合は「施行日から」2 年以内となります。

③「正当な理由」がないのに名変登記を怠ったときは、「5万円以下」の過料

「正当な理由」については、今後、通達などで明確化される予定です。

④名変登記が義務化されるのは「所有権の」登記名義人についてのみ

改正の趣旨が所有者不明土地問題の解消である以上、当然といっていいでしょう。

⑤職権により(すなわち登記申請しなくとも)名変登記をしてもらえるケースも!

まず、個人については、「所有者が住所など検索用情報を事前に法務局に提供→法務局が定期的に住基ネットにアクセスし住所などに変更がないかをチェック→法務局が住所などの変更を確認したら所有者に対して名変登記をしてよいか否かを問う内容の通知を出す→所有者のOKが出たら法務局が職権で名変登記をする」といった流れです。次に、法人については、当該法人の商業登記記録上、商号変更登記や本店移転登記がされた場合は、新しい商号・本店を公示する意思が明確であるため、当該法人に「名変登記をしてよいか否かを問うことなく」その変更が不動産登記記録にも反映されます。なお、これに関連して、令和6年4月1日より、法人の会社法人等番号が不動産登記の登記事項とされる予定です(現在、会社法人等番号は不動産登記申請書には掲げますが、登記事項ではありません)。

以上です。

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