【難易度 標準  ファイナル編第6回との関連性あり】

ファイナル編第6回のご受講お疲れ様でした。今回は条文の重要性について触れたいと思います。

法律の学習は、条文に始まり条文に終わる」などと言われますが、全くもってそのとおりだと思います。民法などでは、判例知識も皆さんの学習対象に含まれますが、判例だって条文が出発点です。具体的事案において抽象的な条文だけでは結論が導けない場合に、その条文の抽象性を補ってくれているのが判例なのですから。

条文知識をどのように身につけるかについては合格者によっても異なります。条文の素読をメインにしていた合格者もいれば、テキストの横断整理図表などをメインにしていた合格者もいます。両者混合型の合格者もいます。条文知識を正確に頭に染み付かせることができるのであれば、その手段は何でも良いかと思いますが、条文の素読が最も正確な情報取得方法です(ただ、時間がかかりますよね)。

そして大事なのは、試験において、条文一発で答えが出せるものが多々あるということです。これは記述式でも同じです。ファイナル編第6回の商業登記法記述式で見てみましょう。

この問題は、別紙3の公認会計士懲戒処分公告において、会計監査人Wの資格喪失による退任日はいつなのか?を判断させるものとなっております。結論としては、「処分を受けた日」である「R4.2.1」ではなく、「現実に計算書類の監査をすることができなくなる業務停止期間の初日」である「R4.3.1」が資格喪失による退任日です。この結論自体は、ある程度学習を積んでいる方であればご存じのことと思います。ただ、この結論を条文の文言と絡めつつ押さえている受験生はそれほど多くない印象です。条文の文言と絡めつつ押さえた方が記憶が定着しやすいと思いますし、「どっちだっけ?」となったときに条文を起点に記憶を呼び戻すこともできます。

会社337Ⅲ①は「公認会計士法の規定により、第435条第2項に規定する計算書類について監査をすることができない者」につき「会計監査人となることができない」としてます。会計監査人の欠格事由を定めたものですが、既に会計監査人の立場にある場合には、「計算書類について監査をすることができな」くなった時点で欠格事由該当(資格喪失)により退任するということになります。条文一発ですよね。

比較対象として、会計参与の欠格事由を定めた会社333Ⅲ②があります。結論が真逆になります(「処分を受けた日」が退任日となります)ので、ご注意ください。この機会に会社333Ⅲ②も熟読してみてください。これも条文一発です。

やはり、大事な条文については、条文の素読が有益な気がします。

以上です。頑張ってください。

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