現在対応中の相続案件が遺産分割協議証明書(遺産分割証明書)を用いる案件ですので、その備忘録です。

遺産分割協議証明書を用いる典型的なケースは、各相続人が全国各地に点在しているとか連絡が取りづらいなどの理由により、通常の遺産分割協議書に相続人全員の押印をもらうのに時間がかかりそうなケースであり、自分もそのようなケースしか考えたことがありませんでした。

現在対応中の案件は、そんなケースではありません。相続人は少数で、近くに住んでおられます。また、相続人は協力的な方々です。にもかかわらず、遺産分割協議証明書で対応することとなりました。事案の内容は以下のとおりです。

① Ⅹ・Y間に子A・Bが存在

② Ⅹが死亡(相続人はY・A・B)

③ Ⅹの遺産につき、相続人Y・A・B間で遺産分割協議成立

④ しかし、③につき遺産分割協議書を作成せず

⑤ Yが死亡(相続人はA・B)

実体上、相続人間で遺産分割協議が成立したものの、遺産分割協議書を作成しておらず、その状態で相続人のうちの1人が死亡したという事例です。Ⅹの遺産に含まれる不動産につき、相続人Y・A・B間で成立した遺産分割協議の内容に即した相続登記を申請するにあたり、登記原因証明情報の一部としてA・Bそれぞれが作成した遺産分割協議証明書(印鑑証明書付)を添付する、というのが結論です。「それしか方法はないよな」と思いつつも、若輩者の私は不安を覚え、管轄法務局に照会をすることに。

管轄法務局からの回答としては、「それでOK」とのこと。

遺産分割協議証明書の署名欄には「Ⅹ相続人兼Ⅹ相続人Yの相続人」という、よくある肩書的なものを付しましたが、このこととの関係で、登記原因証明情報の一部としてのYの戸籍につき、出生から死亡までのものが必要だと考えたので、併せて照会しておいたところ、やはり「必要です」とのご回答。「Y」の相続人全員が遺産分割内容の証明者となる必要があるため、Yの相続人も確定させる必要があるということでしょう。

以上です。

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