司法書士はもとより、司法書士以外の方でもご存じの方が多いのが2024年4月施行予定の「相続登記の義務化」。
商業登記と異なり、不動産登記の権利部に関しては、仮に実体上物権変動が生じていても登記申請義務はなく、ただ民法177条のいう第三者対抗力が欲しいなら登記しましょうね、という原則論からすると今回の改正はかなりドラスティックなものです。
改正の趣旨は、「所有者不明土地問題」の解決です。「所有者不明土地問題」とは、不動産登記から現在の所有者がいったい誰なのかが分からないため、公共事業などによる土地活用ができず無駄に放置されたり、固定資産税の未納が生じたりする問題のことです。この所有者不明土地は410万ヘクタール(九州の面積と同レベル)にも及んでいるとの試算があり(2017年6月に『所有者不明土地問題研究会』(座長:増田寛也東京大学公共政策大学院客員教授)が公表)、深刻な問題となってます。
この所有者不明土地の主な発生原因こそが相続登記の未了であるため、今回の改正で相続登記を義務化することにより、「所有者不明土地問題」を解決していこうというわけです。
この相続登記の義務化におけるポイントをざっくりまとめると以下のとおりです。
①施行日は2024年4月1日
②施行日以前に開始した相続にも適用あり
③義務の内容としては、「所有権の登記名義人について相続の開始があったときは、当該相続により所有権を取得した者は、自己のために相続の開始があったことを知り、かつ、当該所有権を取得したことを知った日から3年以内に、所有権の移転の登記を申請しなければならない。」
④義務違反者は10万円以下の過料(行政罰)に処せられる。
⑤法務局は所有権登記名義人の死亡情報を住基ネットから取得可能
以上です。
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