この時期、初学者の皆さんは講義が不動産登記法に入っていく時期だと思います。不動産登記法は民法などと異なり受験生全員が学習経験ナシの状態からスタートします。また、実務に直結する科目でもありますので補助者経験のない受験生にはイメージを持ちづらいところも多々あるでしょう。ですので、不動産登記法でつまづいてしまう受験生が多いのも致し方ないのかもしれません。以下、不動産登記法の学習における初期段階で意識すべきことを列挙しますので参考にしてみてください。
①早い段階で記述式用の簡単な問題集(LECだと書式ベーシック)に着手する。
択一過去問の難易度が結構高いことから、不動産登記法の基礎を身につけるにはLECでいうところの書式ベーシックが適している気がします。これにより択一に必要なAAランクの知識も身につきます。
②実体判断→手続判断のクセをつける
不動産登記が不動産にまつわる権利変動を公示するものである以上、不動産にまつわる権利変動に関する判断(実体判断・民法レベルの判断)が先行するのは当然です。「実体なくして手続なし」です。
③理屈で押し通せないことが多々あることを認識しておく
実体判断が先行するとは言っても、常に実体判断がそのまま登記記録に反映されるわけではないということを肝に銘じておきましょう(例えば、所有権を時効取得した場合、民法的には所有権を原始取得したものと考えますが、登記手続としては所有権「移転」登記を申請します。移転なんかしてないのに・・・)。
④はじめは細かい知識は完全無視で良い
不登法においては、特にこれが妥当すると思います。まずは「土台の土台」を作り上げてください。
⑤できるだけ登記完了後の登記記録を見る・イメージする
不登法が苦手な方の共通点の1つとして「申請書の雛形」で止まってしまっていることが挙げられます。記述式においては申請書を書く以上、致し方ないのかもしれませんが、「登記がどう動くのか」を知ることは非常に勉強になります。BTなどテキストに載っているものだけでも構いませんので、登記完了後の登記記録を無視しないようにしましょう。
⑥添付情報カテゴリーを意識する
不登法の学習においては、添付情報が1つの大きな学習対象です。頭をすっきり整理するためにも、「添付情報カテゴリー」を意識すると良いでしょう。例えば、一言で「印鑑証明書」といっても、「所有権の登記名義人が登記義務者の場合に要求される印鑑証明書」もあれば、遺産分割協議書に押印された実印についての印鑑証明書のように「登記原因証明情報の一部としての印鑑証明書」もあります。また、承諾証明情報についても、その承諾が持つ意味によって3つのカテゴリーに分割できます。「問題となっている書面がどのカテゴリーに属するか?」を意識することによって、頭がすっきり整理され、頭からの情報の引き出しもし易くなるでしょう。
以上です。頑張ってください。
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